信州ソーシャル・イノベーションフォーラム2019
CSIには、課題を生まない持続可能なビジネスを生む土壌作りが求められています。
これまでCSIに寄せられたたくさんのご相談は、主に自治体をはじめとする行政機関からが多数を占めます。そこからは自治体が地域課題の現場に立ちながら、その解決に向けて日々悩みながら進んでいる姿が浮かびあがってきます。
これまでCSIに寄せられたたくさんのご相談は、主に自治体をはじめとする行政機関からが多数を占めます。そこからは自治体が地域課題の現場に立ちながら、その解決に向けて日々悩みながら進んでいる姿が浮かびあがってきます。
そのような現状から、CSIは、2019年7月30日(火)、本学三輪キャンパスを会場として、主に自治体職員の皆さんを対象に「信州ソーシャル・イノベーションフォーラム2019(主催:公立大学法人長野県立大学、共催:長野県、長野市、特別協賛:日本ユニシス株式会社)」を開催しました。このフォーラムは、民間企業を中心とする地域課題を解決するソリューション・サプライヤーの皆さんをゲストとして全国から多数お招きすることで、具体的な解決方策を学ぶことに加え、自治体の抱える課題と解決策のマッチング及びネットワークを広げ、具体的なアクションにつなげていただくものです。
当日は、県内各地から自治体職員を中心に184名の皆さんにご参加いただき、まず三輪キャンパスのラーニングホールに集まっていただきました。本学より安藤理事長、共催者を代表して長野県小岩副知事の挨拶の後、参加者に今日の全体像を把握していただくため、ゲスト12名が連続して登壇し、5分程度に凝縮した取組内容のプレゼンテーションを一気に聞いていただきました。さらに参加者が詳細な取り組み内容を理解し、ゲストとの交流を深めるため、参加者それぞれの課題や関心に応じて、日ごろ、授業が行われている4つの講義室に分かれ、分科会形式の集合相談的セッションが行われました。また、それらに並行する形で、さらに突っ込んだ質問や深いやり取りができるよう、本学では一番大きな講義室にゲストが一同に集まり、個別相談ブースが設置されました。
参加者からは、「個別相談では自分と近い事例の紹介をしてもらえてとても参考になった」「様々な企業の話が聞けて大変参考になった。」といった民間企業の問題解決力とその解決可能性を理解できたコメントだけでなく、「自分が『やりたい』と思うことをソーシャルなものにしていくヒント、きっかけを知ることができた。」といった次のアクションを具体的にイメージできた方、「自分の頭のなかで考えているものがたいてい古い文化の枠に収まってしまう。世の中の新しい文化になじめていない、ということを痛感した」といった課題解決の当事者としての進取の精神を持つきっかけとされた方もおられ、このフォーラムを契機に動き出すであろう具体的なアクションがますます楽しみになりました。
登壇者一覧
(敬称略・五十音順)
氏名 | 所属 | 役職 | 内容 |
秋山 怜史 | 一級建築士事務所 秋山立花 | 代表 | 行政財産活用・女性子ども支援 |
井上 和馬 | 株式会社カンブライト | 代表取締役 | 地域資源利用食品加工 |
小川 晋平 | AMI株式会社 | 代表取締役 | 遠隔医療、ICT |
小野 邦彦 | 株式会社坂ノ途中 | 代表取締役 | 農業 |
熊野 英介 | アミタホールディングス株式会社 | 代表取締役会長 兼 社長 | 環境・エネルギー |
桜井 肖典 | 一般社団法人リリース | 共同代表 | コミュニティ支援・エコシステム形成 |
佐別当 隆志 | 株式会社ADDress | 代表取締役社長 | 空き家活用 |
澤田 哲也 | ミテモ株式会社 | 代表取締役 | 人づくり、ICT |
田中 慎 | 京都市ソーシャルイノベーション研究所/田中経営会計事務所 | イノベーション・コーディネーター/代表 | 行政イノベーション |
筒井 昭彦 | 京都市産業観光局商工部地域企業振興課 | ソーシャル・イノベーション創出支援係長 | 行政イノベーション |
堀内 奈穂子 | 特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ | 理事 | アート |
向井 剛志 | 日本ユニシス株式会社スマートタウン戦略本部事業開発部 | 部長 | シェアリング・エコノミー |
アーカイブ
(写真:左)
京都市地域企業振興課 ソーシャルイノベーション創出支援係長
筒井 昭彦 氏
(写真:右)
京都市ソーシャルイノベーション研究所 イノベーションコーディネーター
田中経営会計事務所 代表
田中 慎 氏
京都市地域企業振興課 ソーシャルイノベーション創出支援係長
筒井 昭彦 氏
(写真:右)
京都市ソーシャルイノベーション研究所 イノベーションコーディネーター
田中経営会計事務所 代表
田中 慎 氏
参加者・登壇者の声
長野市 主査 白澤 哲也さん
本フォーラムには、当市をはじめ、長野地域連携中枢都市圏の関係自治体の30人近い職員が参加しました。
行政職員にとって多様な社会的・地域課題に取り組む企業・団体を直接知ること、話せることは、アンテナを高くしていない限り非常に難しいので、様々な事業者に一度に出会えることは大変貴重な機会となりました。
これを機に当市では、ジビエ振興に取り組むプロジェクトで株式会社カンブライト様とお仕事をさせていただいたほか、残念ながら台風19号災害の対応のため中止となりましたが、今後の都市整備に関わる主に若手技術職員を対象にとした、日本ユニシス株式会社様によるスマートシティーの事例紹介をいただく研修会を企画するなど、参加した職員による具体的な連携の動きが出てきました。また、参加した他の職員からは、「きっかけがあれば登壇企業の方と地域課題の解決に向けてお仕事をしてみたい」という声もあり、職員にとって“ソーシャル・イノベーション”を知るきっかけとなるフォーラムとなりました。
行政職員にとって多様な社会的・地域課題に取り組む企業・団体を直接知ること、話せることは、アンテナを高くしていない限り非常に難しいので、様々な事業者に一度に出会えることは大変貴重な機会となりました。
これを機に当市では、ジビエ振興に取り組むプロジェクトで株式会社カンブライト様とお仕事をさせていただいたほか、残念ながら台風19号災害の対応のため中止となりましたが、今後の都市整備に関わる主に若手技術職員を対象にとした、日本ユニシス株式会社様によるスマートシティーの事例紹介をいただく研修会を企画するなど、参加した職員による具体的な連携の動きが出てきました。また、参加した他の職員からは、「きっかけがあれば登壇企業の方と地域課題の解決に向けてお仕事をしてみたい」という声もあり、職員にとって“ソーシャル・イノベーション”を知るきっかけとなるフォーラムとなりました。
向井 剛志さん
日本ユニシス株式会社 スマートタウン戦略本部 部長
日本ユニシスは、2019年2月に長野県および長野県立大学との3者連携協定を締結し、ちょうど半年の節目のタイミングで、このフォーラムにご協力することになりました。
当日は日本ユニシスグループの「スマートタウン」に関する取り組みと、海外事例の一つとして「シェアリングシティ」をご紹介し、県内の行政機関や事業者、学生の皆様にも多くの関心を寄せていただくことができました。
このフォーラムでの出会いを一つのきっかけとして、日本ユニシスは、長野市において「地域共創ラボ」という取り組みをスタートしました。地域共創ラボは、“かせぐまちづくり”をコンセプトとし、持続可能な地域社会と具体的なビジネス創出を目指す取り組みで、長野県が掲げる信州ITバレー構想の実現にも貢献したいと考えています。長野県内各所で多くの皆様との事業共創を推進してまいります。
https://smarttown.jp/
当日は日本ユニシスグループの「スマートタウン」に関する取り組みと、海外事例の一つとして「シェアリングシティ」をご紹介し、県内の行政機関や事業者、学生の皆様にも多くの関心を寄せていただくことができました。
このフォーラムでの出会いを一つのきっかけとして、日本ユニシスは、長野市において「地域共創ラボ」という取り組みをスタートしました。地域共創ラボは、“かせぐまちづくり”をコンセプトとし、持続可能な地域社会と具体的なビジネス創出を目指す取り組みで、長野県が掲げる信州ITバレー構想の実現にも貢献したいと考えています。長野県内各所で多くの皆様との事業共創を推進してまいります。
https://smarttown.jp/
田中 慎さん
京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)イノベーション・コーディネーター/税理士/中小企業診断士
フォーラムでは、京都市とSILKがどのようにソーシャルイノベーションの広がりを進めてきたかということを中心にお話させて頂きました。個別には、行政が具体的にどのような仕組みで運営し、特徴あるメンバーを募り、市民への説明責任を果たしているのか等について多くの方から熱心に質問を受け、長野での注目度が高まっていることを感じました。
SILKが設立された2015年に比べ、企業の経営環境は大きく変化しました。企業が社会の持続可能性に目を向けることは世界標準となり、社会に無関心であることは企業の存続を揺るがす経営リスクとなる時代です。また、SILKの支援する企業はこれまで「ビジネスを通じて社会課題を解決する」企業が中心でしたが、ここ最近は「社会課題を生まないビジネス」が若い起業家にとって当たり前になってきています。
このような社会の変化の中、地域を超えて社会課題に向き合っている方々と議論したことで、全国的な関心の高まりを感じることができました。
SILKが設立された2015年に比べ、企業の経営環境は大きく変化しました。企業が社会の持続可能性に目を向けることは世界標準となり、社会に無関心であることは企業の存続を揺るがす経営リスクとなる時代です。また、SILKの支援する企業はこれまで「ビジネスを通じて社会課題を解決する」企業が中心でしたが、ここ最近は「社会課題を生まないビジネス」が若い起業家にとって当たり前になってきています。
このような社会の変化の中、地域を超えて社会課題に向き合っている方々と議論したことで、全国的な関心の高まりを感じることができました。
信州ソーシャル・イノベーションフォーラム2019プレイベント
「信州ソーシャル・イノベーションフォーラム2019プレイベント」は、3月下旬から7月上旬にかけて全5回開催。フォーラム開催のPRを主目的とする一連のイベントは、以下のテーマを設定し、フォーラムへのゲストを事前に県内にお招きしたセミナーや映画上映会などを行いました。
- SDGs(開催地/長野市、飯田市)
- 教育(開催地/長野市)
- 地域おこし協力隊・地域人材の育成(開催地/長野市)
- アートとイノベーション(開催地/佐久市、長野市)
- エシカル消費(開催地/長野市)
テーマは多岐にわたり、現場に近い自治体のご後援等もいただきながら実施し、内容によりインターネット回線を利用した配信が可能な場合は、遠隔地からでも参加できる環境を整えるようにしました。
「今やらなくてはいけないという思いが強くなった。」「よりリアルな課題観を現場で共有できた。」「見えないものを見ようとする努力から始めたいと思います。」といった声が寄せられたプレイベント。ひとり一人の変化こそがそれぞれの現場を動かし、大きなうねりにつながる、そんな萌芽があちこちで見られたように思います。
「今やらなくてはいけないという思いが強くなった。」「よりリアルな課題観を現場で共有できた。」「見えないものを見ようとする努力から始めたいと思います。」といった声が寄せられたプレイベント。ひとり一人の変化こそがそれぞれの現場を動かし、大きなうねりにつながる、そんな萌芽があちこちで見られたように思います。